ーー陸前高田しみんエネルギーはどのような会社ですか?
地域の自然資本である再生可能エネルギーの地産地消を実現する会社です。創業にあたっては大きく2つの想いがあります。「全ては陸前高田のために」との想いと、この「美しい地球を守る」、そのために持続可能性を取り戻していくという想いです。地方からの穏やかな革命として「こうすれば幸せな社会が実現できる」というモデルを作っていきたいと思っています。
ーー小出さんのこれまでの経歴を教えてください。
大学卒業後は戸田建設で医薬品工場のプラント設計など建設のエンジニアをしていました。40歳を過ぎたあたりで、機械工業系の商社であるミスミグループへと転職し西日本での拠点づくりに関わり、その後ワタミグループに移り、環境事業のマネジメントを経て現ワタミエナジーの社長を経験しました。その後に、地域電力会社であるうすきエネルギーと陸前高田しみんエネルギーを創業しました。
ーー組織や組織づくりに関してどのようなことを考えてきましたか?
エンジニアだったころは職人的な発想ですから、組織やチームというよりは職人的にいかに自分の知識や能力を高めていくかという世界観でした。組織について学んだのは、2001年ころに早稲田のビジネススクールへ通う機会をいただいたときですね。所属していたのが大手のゼネコン企業ということで、課長、部長、役員とあらゆることを階層的に意思決定していく必要があり、それは無駄だなと感じていました。なので、組織の階層が少ないフラットな組織構造で、ヒエラルキーを超えた関係が作れると良いなと感じていました。
その後移ったミスミグループは、まさにそのような階層が少ない組織で、すぐに社長に意見が届き意思決定が速いという点はありました。しかしながら、成果をしっかり出さなければ居場所がないという厳しさもあり、もっと社員と良い関係が作れないかなとも思いました。
そしてワタミグループでは「最適な組織は何だろう」と考え、トップダウンでも、一番下からのボトムアップでもなく、その間のミドルダウン、ミドルアップ。全ての決定を社長に持っていくのではなく、中間層に権限を移しつつ、ミドル層が現場との想いを共有していく形を模索していました。
ですので、自分が社長になったワタミエナジーでは4人のリーダーを抜擢し、社長賞等報酬面でもモチベートし育てていきました。しかしながら、最終的にそれらのリーダーたちはあるところで会社を去ってしまいました。現在、その会社をしっかりと守ってくれているのは、当時あまり目立たなかった人たちです。自分の中で何かが足りなかったのかなと思うところがあります。
ーーそういう経験を踏まえ、うすきエネルギーや陸前高田しみんエネルギーでは、どのような組織にしようと考えたのですか?
組織というよりもまずは自分の「後継者」を育てて行こうと考え、その後の組織のことは後継者中心に考えてもらおうと思っていました。幸いにも後継者となる人材に恵まれ、うすきエネルギーは2024年には社長を引き継げましたし、陸前高田しみんエネルギーも今年(2025年)には社長交代の予定です。
ーーエンカレッジ社(花屋)と一緒にお仕事をするようになり、組織について改めて思ったことはありますか?
会社のビジョンだけでなく、働く人一人ひとりがパーソナルビジョンを持ち、ビジョンとビジョンを重ねることが大事だなと思うようになりました。自分の夢の実現と企業の目指すところが重なるようなところ。この組織にいて良かったなと、全ての社員がそう思えるような組織にしたいです。
ーー「全方位1on1」ということでお話を聞かせていただいていますがいかがですか?
まず自分自身は「コーチング」的なことの必要性を感じてはいたものの、これまで具体的にそのようなことはしてきておらず、今回そういう機会を得たことで自分自身の内省が深まるのを感じています。社員との面談に関しても、100%ではないかもしれないけど、上司部下の関係では言いにくい「つぶやき」みたいなものを汲み取ってもらって、それをフィードバックしてもらうことで、メンバーの気持ちが捉えやすくなった感じがあります。私は想いがたくさんあり、それをとにかく伝えようとするので、自分としては伝わって欲しい、伝わったはずと思いたいのですが、実際には伝わっていなかったなど、自分で把握するには限界があったなと思います。
ーー社員の皆さんからすると、外部の人に個別に話を聞かれることに最初は抵抗がありますよね。導入はいかがでしたか?
確かに多少の抵抗はあると思いますが、そこは私が社長なので、やりたいと思ったら「まずは話をしてみてくれ」とやってみてもらいました。そこで実際にメンバーから「なんであの人と話さなくてはならないんですか?」みたいなことが、上がってきていないというのは、「しっかり話を聞いてもらっている」からかなと思っています。これがもし社長の影武者のように「社長の言いたいことを代わりに伝える存在」となってしまうと、そうはいかないと思います。
ーービジョン会議として2回ほど全社でのワークショップもサポートさせていただきました。
私はつい想いをたくさん話してしまうところがありますが、事前に想いを把握してもらって、どういう順番でどこまで話していくかなどの段取りを一緒に考えてもらったので、任せることができました。話し過ぎそうになってもしっかり止めてもらって、みんなに伝わるように整えてもらえる。そうすることで、トップが一方的に想いを伝えるトップダウンではなく、みんなで対話しながら進めていけて、想いを受け渡していくことができた感じがあります。心理的安全性も高まっている気がします。
ーー弊社のサービスはどのような企業に向いてそうでしょうか?
ベンチャーで2、3年やって組織がだんだん大きくなってきているところ。やはり、社会的な課題を考えつつ、社員の幸せなどを考える社長さん。あとは創業者から次の世代へと承継していく2代目、3代目の社長さんが、新しいビジョンを掲げたり風土づくりをしていくのにいいのではないかと思います。
ーーどうもありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
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