2025.4.16

対話理論組織

組織の構成要素から考える対話の必要性 ~バーナードの組織の3要素~

1. 組織とは何か?

「組織をもっと良くしたい」「組織の問題だよね」「組織上はそれで仕方ないよ」「組織的な連携が足りていない」、職場において「組織」という言葉は日常的に使われますが、「そもそも組織とは何か?」、その構成要素を考えたことがあるでしょうか?

アメリカの経営学者であるチェスター・バーナードは、組織を「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステム」とし、その成立条件として組織の3要素:共通目的・貢献意欲・コミュニケーションを提示しました。

2.組織の3要素

(1) 共通目的
組織の全員が共有する「めざすべき方向」です。私たちはなぜともに働いているのか?なぜわざわざ一緒にいるのか?人が集まって何かをするには共通の目的が必要です。

(2) 貢献意欲
人が集まって何かをするにあたり、ひとりひとりがその集団に対してなんらか「貢献したい」と思えば思うほど、一生懸命役割を果たすことができます。もし、まったく貢献する意欲の無い人たちの集まりだった場合、いったい何をなすことができるのでしょうか?

(3) コミュニケーション
人と人が連携するにはコミュニケーションが必要です。いつ、誰が、何を、どうするのか?そういったやりとりが適切に行われなければ、物事は動きません。

これら3つはそれぞれがつながっています。貢献意欲を持つためには、一緒にやる価値のある共通の目的は必要です。貢献するには何か連携して動く必要がありますが、コミュニケーションなしに意思の疎通はかないません。

3. 求められる質

これら3要素はただあればいいわけではありません。今の時代はこれに「質」が求められます。

共通目的は組織のビジョンと呼んでもよいと思いますが、より良いビジョンとはどのようなものでしょうか?物質的な豊かさが浸透した現代では、単純に「お金」が手に入るだけでは人の心は動きにくくなっています。より社会を良くしていくような、社会とつながるビジョンを掲げていく必要があります。

社会に通じるビジョンがあれば、そこで働く人の貢献意欲は高まるのか?いいえ、それだけでは「半分」です。もうひとつは、そこで働く人自身のビジョン、パーソナルビジョンとの「重なり」が必要です。自らが時間と労力を使うことが、社会にも自分自身にも良いことがある。そのように感じることができる「重なり」こそが貢献意欲の源です。

コミュニケーションとは幅の広い概念です。例えば、業務上の指示において5W1Hが明確に伝われば、組織の活動は全て円滑に進むでしょうか?何か問題が起こるとすれば、その指示の不明瞭さ(5W1Hの曖昧さ)だけが問題なのでしょうか?それだけではないと思います。その指示の奥にある意図や文脈、背景への理解が、そのときどきに応じた柔軟な対応を可能にします。表面上のコミュニケーションを超えた「深い」コミュニケーションが求められます。

4. 対話が鍵となる

弊社は、この3要素を高めるための鍵を「対話」だと考えています。

組織のビジョンはどこから生まれるでしょうか?多くの場合は創業者(経営者、社長)の想いです。なぜ、この事業を始めようと思ったのか?そこにいたる経緯はどのようなものか?何か大切にしたい価値観はあるか?そういった創業者の心の奥底にある何かと、組織のビジョンはつながっています。創業者(経営者、社長)との対話を重ねることで、その想いをひも解いていくことができます。

貢献意欲を高めるには、組織ビジョンとパーソナルビジョンの重なりが重要です。そのためには、社員一人ひとりが、自らが求めているのものを自覚する必要があります。その助けとなるのが他者との対話です。

そして組織のビジョンと個人のビジョンが明確になれば、その重なりがどこにあるかも対話を通じて確かめていくことになります。

日々の業務において、そもそも「指示」が出されるということは、なんらか「方針」や「答え」があるからこそですが、その方針や答えを簡単に出せなくなっているのが現代です。適切な方向性を見出すために、一人ひとりの価値観や見解を出し合い、適切な道を都度見つけていくことが不可欠で、その行為は対話そのものです。

5. 組織の対話力を上げていく

社長の想いも、社員の想いも、それらの重なりも、対話を通じて深まります。日々の業務においても簡単に指示を出して終わる作業は、AIや検索機能に置き換わり、残っている課題は「考える」それでもなお「決め切れない」ものです。ひとりで考えるのではなく、対話を通じた多面的に配慮された「仮説」を作り、検証し、必要に応じて修正する。そういったプロセスを繰り返す。そのプロセスの中核を担うのが対話です。

組織の対話力をあげていくことが、変化の激しい現代社会における組織防衛の処方箋です。

エンカレッジの提供する「全方位1on1」は、組織全員との対話を通じて、組織の対話力向上を支援します。これは小さな組織だからこそ可能になるアプローチです。

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